成長段階にはかかせない要素、”センス”。
そのセンスは何をもって言うかは、解明されていないし、今後も解明されることはなさそう。なにせ主観によるところが大きいからだ。
ただ確かに、できないことがすぐできるようになったり、やったこともないことが最初からできてしまったりした時「センスがある」と誰しもが思ってしまう。
個人的には”センス”は動きのスムーズさや正確さを評価する時に使うような気がする。
じゃあ果たしてこの”センス”は、良いと悪いがあるのだろうか。ましてや、「センスがある」「センスがない」ということがあるのか。
私は、ノーだと思っている。
あるのは、「最初からできるやつ」と「繰り返しが必要なやつ」のパターンだけだと思う。
そうだな、例えば心身の障害などによって、”本当に”できないのと、”今”できないのは訳が違う。
障害があれば半永続的な支援が必要になってるし、”今”できないことを「センスがない」と言ってしまうのはとても乱暴でコーチ失格だ。
聞いた話では、ダンスは運動神経とは全く関係ないらしい。身体のパーツごとに動きを覚えて、反復して、記憶して、スムーズにしていくだけなので、AKBの中にどれだけ運動オンチがいても、あのダンスを統一するのは可能らしい。
繰り返せばできるようになる。そのスピードが違うだけで、しっかりアプローチできれば不可能はないと思う。
これは少年期の育成において重要な観点、
「早熟」
と
「晩熟」
の話である。
一様に、早熟の選手を「センスがある」と言ってしまう傾向が強いので、それを改めたい。できないことができるようになる”タイミング(年齢)”それぞれ違うだけなので、本人がやりたい意思がある限り、続けられることで、可能性が出てくるのである。
必要な環境は2パターン
①晩熟選手の練習環境
現状では、少年野球においてもチームではレギュラー選手の固定が多い。レギュラーになった選手とそうでない選手(早熟と晩熟)では、圧倒的な試合経験の差が生じる。なんなら練習でさえ活動量に差が生じる場合だってある。
携わってきた高校野球においては顕著で、公式戦に出場したのは数回程度しかないとか、チームの戦力になりうる選手とそうでない選手では練習量は比べ物にならない程の差がある。
私自身も、自分がレギュラーであることをいいことに(レギュラーはレギュラーで責任感やプレッシャーから、過酷な練習から逃れられない)、ベンチ選手の練習機会を奪って練習していたなーと思う。
これはものすごく、晩熟選手の”逆転が生じにくい環境”であると言える。
ま、だから晩熟選手は脂が乗りかかる頃に野球から離れていくんだけど。。
ただし、これは
勝利優先主義の形状上では仕方ないことでもあると思う。
常に勝つことを目標とされるチームにおいては、下手な選手を試合に出すことができないし、試合に出すことのない選手を練習させている場合ではない。(チーム重視の弊害!!)
これを「仕方ない」とするのであれば、チーム外でサポートするしかない!
そこで地域クラブである。
アカデミーで、週に1•2回でも充実した練習時間を確保させられれば、晩熟型選手の成長を止めることなく野球に携わらせることができる。アカデミーでゲームをプランニングすれば、その場限りの実践経験も積むことができる。
その上で「甲子園も目指したい」とか「中学校の友達との野球もしたい」のであれば、チームに加わっていればいい。
チーム重視で確保できない、晩熟選手の”個人の時間”をアカデミーが受け持つ。
身長の伸びるタイミングも様々、感覚が磨かれるタイミングも様々で、伸びた瞬間が何よりの喜びにつながるのだから、アカデミーの方がオイシイ時間を共有できるかかもしない。
今の野球環境(厳しい高校野球など)を存続させていくためにも、並行して必要な環境体制である。
②早熟選手の適切な活動環境
孤高の早熟(?)・清宮幸太郎選手は、12歳当時で身長175cm、体重80kg近くあったといいます。日本の高校生の平均身長を全然上回っているので、(フィジカル面だけで言えば)小学生の試合に高校生が混ざってやっているようなもので、そりゃ活躍する。下手くそな高校生だって小学生に混ざればぶいぶい言わせられる。
率直に言えば、こういった選手は小学生と一緒に野球をやらず、高校生と野球したほうがいい。
アメリカでは、学年ごとに9-U・12-U・14-U …などチームを構成していて、身体の出来上がっている選手は上の学年に混ざりやすいとも言える(逆もたまにある)。
日本では中学校1年生は中学校3年生と(飛び級で)ゲームできますが、中学3年生は中学校3年生以下としかゲームできないですよね。(学校部活動の限界!!)
ここでももちろん清宮のように「世界大会で優勝するんだ」というような目標があるのならチームに帯同すればいいし、合わせて個人の能力をいつでも挑戦していける場としてアカデミーでゲームや練習を提供することができる。
大きな連盟に所属することなく、多学年の集団活動の中で、自分に合ったレベルに挑戦することができる。
日本の中学生15歳トップレベルは、今や高校野球に混じっても最初から通用するような選手がいるので、彼らは大学生と練習しても遜色がない。
そういう夢のような練習環境を提供できる、可能性がアカデミーにはあるのである。
必要な土台は必ず作ります。
虐げられし”晩熟戦士”(「選手」の変換ミスそのまま)…
輝け『晩熟戦士』飛び出せ『早熟戦士』
そんなキャッチフレーズでいこうかな。