“幼少期にどういった運動経験を積むか”は、以後の成長に大きな影響を与えると言われています。
ちょっとだけ分野ぽい話をすると、『スキャモンの発育曲線』というものがあります。運動神経を含む神経系の組織は出生から一気に成長し、約12歳ころにはピークを迎えることから、そこまでを「ゴールデンエイジ」と呼んで、「運動神経を鍛えられる時期」というふうに捉えたりします。
スポーツの世界に携わる人はもちろん、多くの人が聞いたことのある言葉だと思います。
ただ、ぶっちゃけ!
この理論は、スキャモンという人物はただの医学者・解剖学者かなにかで、ただ、体内組織の質量・容量を測って統計をとっただけらしく、「運動をこの時期にすべきですよ」なんていうことを証明したものではない。
グラフで見たら分かるけど5〜6歳のころには成人の80%神経系は完成しているというから、だいたいの子が本格的に運動なんかする前から運動神経が決まることになる。
そんな訳ないので心配しなくていいし、体がある程度思い通りに動かせるようになってきて運動・スポーツを始めればいい。
それよりもむしろ、小学校とかで学年が上がるにつれて出来始まるカースト(階級制)の方がよっぽど厄介だ。
「僕は運動が苦手だ」と、お互いの力関係の中で思い始めて、消極的になる→運動経験がどんどん乏しくなる→運動できない子に育つ。
だからそんな子たちも集めて、運動経験を(周りの力関係を気にせず)積ませられる環境としても活用できるアカデミーにしたい。
少なくとも、焦って運動を始めて運動神経を鍛える必要はないと思っているし、その成果があまりあるとも思ってないので、まずは
子ども達が自由に運動できる環境をつくって、運動経験を積む(日常化する)こと
そしてただ運動経験を積ませるなら、”お父さんと公園ではしゃぐのとはまた違う経験”を積ませたい。
それがもうひとつ、幼児期の運動育成における重要なテーマ”多様な運動スキルの習得“。
これは幼児期というか、『専門競技に特化する年齢』前まで行い続けたい。
専門競技に特化するのがとにかく日本は早すぎる!
『専門競技選択適齢期』これについてもアカデミー案があるのだが、話が長くなるので次のブログに記すとして。
ひとつの競技の運動経験はあまりにも画一的すぎるので、早い段階から特化しすぎた選手は、早熟傾向として上手くなるかもしれないが、成長しにくい選手になる。
例えば野球では、「速い球を投げる」「強くボールを打つ」「速く走る」というスキルがある。
しかし実際にはそこに、さまざまな外的・内的状況が加わって、複雑な動きになる。
じゃあその複雑な動きを、
- 百万回練習してその競技から身に付けるのか
- さまざまな競技(運動経験)をして、その延長線上で身につけているのか
私は絶対に後者の方が、遠回りであっても、結果的に近道だと思う。
ようは”すっ飛ばし“で、
「野球を通してフットワークを鍛えましょう」と言ってサイドへノックをひたすら繰り返して、ひとつひとつの動きを身体に染み込ませるのと、
「フットワーク鍛えるためにサッカーをやろう」と言ってとにかく足の運びをコントロールしなければならない状況を作って、自然と身のこなしを覚えていくの違い。
心肺機能を高めるなら小さい頃からウィンタースポーツや水泳をやった方がいいし、
投力をつけるなら、野球ボールだけでなくバスケットボール、ラグビーボール、さまざまなボールをコントロールしたほうがリリース力がつくし、
用具操作の力つけるには、バドミントンやテニス、ラケットスポーツは面があるのですごく効果的。
フィジカルバランスを整えるなら器械体操やトランポリン。
あとは空間認知や状況判断力。バレーボールとかフットボールが最高。
幼少期にそういった多種目経験から運動スキルを身につけて、適齢期になったころ、専門競技を選択して、持てる全ての運動スキルをその競技に生かす。
多種目経験して、ある程度それぞれの競技について知った方が、競技選択の失敗も減るだろうという狙いもある(例えばそれが生涯スポーツとして期待する場合にも)。
正直言って、
野球じゃなくてもいいんだよね
人の成長にかかわれれば。
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